メインテーマ・第2幕
「ベルビア」の世界へようこそ 2022/09/24
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今は亡き「ミノルタ」というメーカーの一眼レフに、「ベルビア」というポジ(リバーサル)・フイルム
を装てんしたのは2022年4月24日の事。プロ用の「ベルビア」は繊細な色彩表現を保つために、
カメラに装てんされている時以外は冷蔵保存が基本中の基本。ところがオイラは、2022年の酷暑
をカメラに入れっぱなしで放っちゃいました。なぜなら、36枚撮りのフイルムだから。昔は、フイル
ムと言えば12枚撮り、24枚撮り、36枚撮りとバリエーションが豊かでした。今のデジダル・カメラと
違って、無料でバシャバシャ撮れるのと訳が違い、「ベルビア」の36枚撮りは2022年現在で1本が
2030円(税込み)もしました。フイルム本体価格だけで1コマ当たり56円です。無駄に撮れるはず
がないです。貧乏性なオイラは、昔から一本のフイルムを撮り終えるのに2〜3シーズンは普通に
経過していました。今回も現像が仕上がると、最初の方のコマは満開の桜で、最後はヒマワリや
サルスベリの花でした。まあ、これもフイルム・カメラ故の面白さというか、あるあるなんです。
ポジ(リバーサル)・フイルムで、現像が仕上がって帰ってきたフイルムはいかにして楽しむので
しょうか? 3通りありますが、@ ビューアーで見る。A OHPで投射する。B ダイレクト・プリントで
写真に焼き増す。C これは現在のみですが、フイルムス・キャナーでJPEGとしてPC機器で見
る。
C はデジタル化されるので、色は潰れて全く意味なしです。@ABはフイルムの色彩がダイレ
クトに表現されます。と、いっても機器のピンキリ具合によります。勿論、貧乏人のオイラはLEDビ
ューアーしか術がありません。
と、いうことで、もう25年来使ってるビューアーに、仕上がったポジを載せてみます。うーん、これ
これ、これぞ「ベルビア」の世界だ。色彩が濃いねえ。青空の色は異星の空みたい、そして満開
の桜は曇天に映えるピンクです。決してデジカメじゃ曇天には映えません。
ピントや手ブレを確認するにはルーペで拡大します。液晶上で再現されたJPEGなので解らない
と思いますが、ビューアーやOHPの白幕に映し出された画像、あるいは純白の高級プリント用紙
に焼付けられた写真ですと、雲の純白部分は眩しいくらいに光って見えます。この光った白は、モ
ニター越しなんかじゃ理解してもらえないだろうなあ。
今回、約10年ぶりに撮ったリバーサル・フイルムの現像はスリーブ仕上げにしまし。スリーブ仕
上げとは、ネガ・フイルムの現像と同じで、1連6コマに切られたフイルムです。他の仕上がりには
マウント式もあります。これは1コマづつカットされ、プラスチックで縁どられ、持ちやすいように加
工されています。OHPで投影する場合はマウント式に限ります。遠い昔の学生時代が懐かしいで
す。授業でよく使われましたから。オイラは初期の頃はマウント処理が多く、その所持するコマ数
の多い事と言ったら。失敗作や駄作は捨て、捨てられないコマはアルバムに保存していますが、
晩期のスリーブと合わせたら万を越えるコマ数です。
さて、デジカメみたいに「パシャッ」とシャッターを押すだけとは違い、適正露出を得るために繊
細な計算・判断を求められるリバーサル・フイルムの「ベルビア」には、苦手な分野が多少ありま
す。「ああ失敗!」の2例を紹介します。
@ フイルムは1本撮り終えるまで固定のISO感度とホワイトバランスです。「ベルビア」の場合、
ISO 50、デイライトです。下の画像は「ガスト」のいつもの朝食メニューを撮ったもの。室内の蛍光
灯下では、こんな色に仕上がって「ガーン!」とショックです。対策としては、ストロボを発光させる
か、フィルターで調整するかですが、レストランでピカッと光らせないですし、蛍光灯にも最近は色
に種類があってフィルターがいくつあってもキリがないです。
A いつもの定点公園。夏の空と公園を背景にサルスベリの木を撮ったのですが、明かな露出
不足でした。デジカメやネガ・フイルムなら、現像所の人が適正な露出に直してくれるのですが、
ポジ(リバーサル)・フイルムは直しようがありません。だから、真面目に計算してマニュアルでシ
ャッター・スピードと絞り値を決めるのです。オイラの場合、大体白い雲をスポット測定して2.5〜3
プラスに仮決定させ、植物の葉っぱ群にスポットをあわせて±0ならOKにしていますが、シャッタ
ー切る寸前頭上の太陽が雲に入ったりすると、露出が足りなくなってしまいます。まあ、この画像
の場合、空や公園の露出は合っているので、サルスベリの木へのライティングが欲しかったで
す。内蔵ストロボを焚かなかったことを後悔です。因みに、下画像はスマホで何も考えずに撮った
画像です。
オイラは、「ベルビア」で撮るのは圧倒的に青空を含んだ風景写真が多いです。鮮やかな発色
のブルーの虜ですからね。そして、空をより濃く描写するのに欠かせないのがPLフィルター。「PL
フィルターは違反!」といった論争もかつてありましたが、オイラは絶対に使用します。PLフィルタ
ーは偏光フィルターの事。空気の水蒸気や塵に光が反射して白っぽく見える空を濃い青空にする
フィルターで、デジタル・カメラの画像処理で着色・変色・加工するのとは違います。
フイルム写真、特にネガではないポジ・フイルム(リバーサル・フイルム)は現像時の露出の過
不足をコントロールできないので、ある意味昨今のデジタル・カメラなんかよりも、よっぽど正直で
す。撮影機材や条件さえ同じなら、同じ写真が撮れる理屈です。ですから、よくプロのカメラマン
が雑誌に投稿したり、コンテストの出品作なんかは撮影状況の詳細が付けられます。上の失敗
画像で言えばこんな感じです。「ミノルタα507si シグマAFズーム17〜35ミリ・ f 2.4-4 ワイド端
M(マニュアル)モード 絞り6.7 1/30秒 PLフィルター使用 手持ち撮影 RVP」。最後の「RVP」
はISO感度50の「ベルビア」の略称です。デジタル一眼では、自分で現像するので、このような撮
影データなんか無意味だと思います。まあ、オイラみたいに一髪JPEG撮りなら必要かもしれませ
んが、RAWから現像した段階で加工されていますから、むしろ現像内容を誇示したらいかがでし
ょう。レタッチし過ぎの不自然な自然の画像が昨今多いです。。
高校2年で始めたフイルム・カメラ。2013年頃まで、32年間に渡って莫大なネガ・ポジの両フイル
ム数の保管です。稀に見直す機会がありますが、一番希少価値を見いだせるショットの分野は、
やはり集合写真を含めた人物です。次は順に街並み、建造物、鉄道、航空機。要は、歴史を感
じさせる写真は価値ありです。オイラの場合、毎年の写真年賀が恒例化し、ネタ捜しも兼ねてカメ
ラを持ち出して外出する度に自撮りを行ってきました。それこそ、お蔵入りしたショットの数ははか
り知れません。一方で、人物のいない自然物は、いくら綺麗に撮れても価値など全く無し。プロの
カメラマンじゃありませんから。コンテストで入賞でもすれば違うかもしれませんが、所詮自己満
足。そんな自己満足の世界も、フイルム1本2000円+現像代1000円の計3000円のコストじゃ、貧
乏人には絶対に無理。だから1年に渡ってカメラにフイルム入れっぱなしで、今後も撮っていこう
かな。
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